遺贈について
遺贈とは、遺言により財産の全部または一部を無償で譲与することをいいます。
もらう側(受遺者)の遺贈を受け取るという意思とは無関係に、あげる方(=遺言者)の一方的な遺言により生じます。
もちろん遺贈は遺言者の単独行為ですので、この点で贈与契約とは異なります。要するにあげるほうの一方的な遺言で足りるのです。
また、法定相続人以外の第三者でも遺贈することができます。
ただし、遺贈は、年齢制限があり、15歳以上に達することにより遺贈することが可能となります。
●遺贈は、厳密には包括遺贈と特定遺贈の2種類があり、異なる点があります。
<税金について>
遺贈の場合は、生前に贈与した場合の贈与税ではなく、遺言による遺贈ですので相続税がかかります。
贈与税は、後記のとおり高い税金が発生しますが、遺贈の場合、贈与税とは無関係ですので、注意しましょう。
ただし、贈与税よりは安くすむとしても、故人の配偶者、子(代襲相続人を含む)や故人の父母の一親等以外に遺贈する場合は、相続税が2割加算されることも念頭に入れておきましょう。
故人から見て、故人の兄弟姉妹、祖父母や孫は、2割加算の対象となり、第三者は当然となります。
また、遺贈によって受けた財産が不動産だった場合は、相続税以外に不動産取得税がかかる場合がありますので、遺贈と相続の違いはここにあります。
贈与について
贈与とは、贈与者が、その財産を無償で受贈者に与える契約です。要するに贈与は、契約の一種であり、また、生前に贈与する点で、遺贈とは異なります。
この贈与契約は双方の口約束でも成立します。
しかし、もらうほうにとっては口約束だと本当に約束を実行してくれるか心配なものです。「やっぱりあの話はなかったことにしてくれと・・」と気が変わることも考えられます。
「書面によらない贈与」は、各当事者いつでも取消(=撤回の意味)できると規定されています。したがって、贈与契約があった場合は、証拠として残す意味で書面に残して置くほうが望ましいといえます。
>もっとも「書面によらない贈与」であっても約束が履行された場合は取消はできません。
履行の具体例:
・動産の場合 →引渡しがあったとき
・不動産 →登記または引渡しがあったとき
<贈与税について>
タダで人からもらうほど高いものはありません。個人から1年間(1月1日から12月31日まで)に110万円を超える財産をもらったときには贈与税がかかることを念頭に入れておきましょう!
ただし、110万円以下の場合は、贈与税はかかりませんので、申告も不要となります。
<一般贈与財産用>(一般税率)
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。
課税価格 | 税率(%) | 控除額 |
200万円以下 | 10 | ー |
300万円 〃 | 15 | 10万円 |
400万円 〃 | 20 | 25万円 |
600万円 〃 | 30 | 65万円 |
1,000万円 〃 | 40 | 125万円 |
1,500万円 〃 | 45 | 175万円 |
3,000万円 〃 | 50 | 250万円 |
3,000万円超 | 55 | 400万円 |
<特例贈与財産用>(特例税率)
この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。
例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。
課税価格 | 税率(%) | 控除額 |
200万円以下 | 10 | ー |
400万円 〃 | 15 | 10万円 |
600万円 〃 | 20 | 30万円 |
1,000万円 〃 | 30 | 90万円 |
1,500万円 〃 | 40 | 190万円 |
3,000万円 〃 | 45 | 265万円 |
4,500万円 〃 | 50 | 415万円 |
4,500万円超 | 55 | 640万円 |
<贈与税の計算例>
(課税価格-基礎控除額110万円)×税率-控除額=贈与税額
「一般贈与財産用」の計算の例
200万円の贈与を受けた場合
(1)200万円ー110万円(基礎控除額)=90万円(課税価格)
(2)次に税率は、上記速算表では15%
90万円×0.10(税率)=9万円(贈与税額)
・1,500万円の贈与を受けた場合
(1)1,500万円ー110万円(基礎控除額)=1,390万円(課税価格)
(2)1,390万円×0.45(税率)ー175万円(控除額)=450.5万円