親の借金を相続したくない!(相続放棄)

遺産は必ずしもプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も含む場合があります。そのため、遺産を相続する場合は、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続することになります。

親の残した遺産(預貯金や不動産などのローン)を処分しても借金を返済できない場合などにより、借金を引き継ぎたくなければ、相続せずに済む手続き(相続放棄)をすることがきます。
 
ただし、相続放棄をしますと、マイナスの財産だけでなく、プラスの財産も相続しないことになりますので、注意が必要です。
※相続放棄による効果:初めから相続人でなかったものとみなされる。

もっともこの相続放棄の手続きには、3か月という期間がありますので、その期間内にしないと借金を引き継ぐことになってしまいます。
 
ただ、場合によっては、借金がどれだけあるか正確にはわからないこともあります。このような場合は、「限定承認」の手続きの方が得策な場合もあるので、選択には、慎重に!
 
<相続放棄の手続>
提 出 先:被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
     ※家庭裁判所に相続放棄申述書の用紙があります。
提 出 者:相続放棄をする人
期  限:原則として被相続人が死亡したことを知ってから3ヵ月以内
  ※期間が短いので、早めに!
費  用:収入印紙800円と郵便切手(申述先の家庭裁判所でご確認ください)
必要書類:
(1)相続放棄申述書 →1通
(2)被相続人の戸籍謄本・除籍謄本、住民票の除票 → 各1通
(3)放棄する方の戸籍謄本と認印 → 各1通
※事案によっては、他の書類も必要になります。
  〇何もしないで3ヶ月期間を過ぎてしまうとどうなるのか?
この場合は、自動的に単純承認したことになり、借金も引き継ぐことになる。 また、遺産の一部又は全部を処分したりすると、単純承認とみなされますのでご注意!

●遺産分割協議で自分は相続しないとした場合は相続放棄?
このような放棄は「事実上の放棄」というものであって、家庭裁判所に対する相続放棄の申述という手続をとらない限り、被相続人の債権者などに相続放棄をする旨通知などしたところで相続放棄の効力が生じません。

借金を避けるために、家庭裁判所に対する相続放棄の申述書を提出しておきましょう。

親の借金が正確に分からないときは?(限定承認)

親の遺産に借金があることは分かっているが、どれだけの借金か正確によく分からない。借金を差し引いても、プラスの遺産があった場合も考えると、相続放棄は得策ではないこともある。このような場合は、「限定承認」の手続きを取る方がよい場合があります。

● 限定承認
プラスの遺産の枠内で、借金を返済できる。借金を返済しても財産が残れば相続できる。相続放棄は、初めから相続人にならなかったものとみなされるので、財産が残っても相続できないという点で相違点があります。

ポイント 限定承認 ─ 条件付きで遺産を相続
相続放棄 ─ 完全に遺産を放棄

限定承認の手続き
提出先:被相続人の死亡した住所地の家庭裁判所
    ※家庭裁判所に限定承認申述の用紙が置いてあります。
提出者:   相続人全員。ただし相続放棄をしたものがいるときは、そのものを除く。
  提出期限:原則として被相続人が死亡したことを知ってから3ヶ月以内
     ※期間が短いので、承認を選択するなら早めに!
添付書類:
(1)相続の限定承認の申述書   1通
(2)被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等
(3)申述人の戸籍謄本        各1通
(4)財産目録             1通
           ●何もしないで3ヶ月期間を過ぎてしまうとどうなるのか?

この場合は、相続放棄で説明したように自動的に単純承認したことになり、借金も引き継ぐことになる。また、遺産の一部又は全部を処分したりすると、単純承認とみなされます。

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